IRON MAIDEN / POWERSLAVE
高校の頃、クラスメイトに“王子”というあだ名の奴がいた。
雰囲気がハリーポッターの主人公みたいな感じで、いつも涼しそうな顔をしていたからだ。
そんな彼が実はメタル好きで、なんでも部屋の真ん中にフライングVが置いてあるらしいとの話を聞いた時は、ちょっと驚いた。
そんな彼の家に遊びに行った友達は、部屋の真ん中にある巨大なスピーカーの前に2人正座して、大音響でメタルをしばし堪能したとの事。
これこそ正しきメタルの聴き方か?
例のフライングVは、傍に鎮座されていたとの事。
余り話す機会はなかったけど、何かの拍子で音楽の話をしたことがあった。
その中でアイアン・メイデンの素晴らしさを熱く語っていたのがとても印象的だった。
でも当時の私には、毎回ジャケットに登場してくる、あのEddieのイメージが強く余り耳にすることはなかった。
しばらくして学校を卒業し、以来“王子”に会うことはなかった。
そして彼の事などすっかり忘れていたある日、職場のメタル好きな先輩がアイアン・メイデンのレコードをプレゼントしてくれたのだ。
そのジャケットには例のEddieが描いてなかったので、先入観なしで聴く事ができた。
そして自分が抱いていたイメージを、悔い改める事となるのでありました。
今や20年以上のキャリアを持つ彼らの、1984年に発表された5thアルバム。
商業的な頂点を極めた本作は、正に全曲キラーチューン。
シングルカットされ、オープニング曲でもある“ACE HIGH”
プロモーションビデオでのスティーヴ・ハリスのベースを弾く姿がとてもかっこよかった。
彼らの曲としては数少ないインストナンバー“LOSFER WORDS(BIG 'ORRA)”は強靭無比で如何にもメイデン節といった感じ。
ラストを飾る“RIME OF THE ANCIENT MARINER”はイギリスの詩人サミュエル=テイラー・クーリッジの叙事詩を音楽化させたもので彼らの様式美を聴くことができる。
なんにせよ、Eddieがこの時、棺の中に入っていてくれてよかった。
IRON MAIDEN / POWERSLAVE
ACES HIGH
2 MINUTES TO MIDNIGHT
LOSFER WORDS (BIG 'ORRA)
FLASH OF THE BLADE
THE DUELLISTS
BACK IN THE VILLAGE
POWERSLAVE
RIME OF THE ANCIENT MARINER