古内東子 / 恋
97年発表の6枚目のオリジナル・アルバム。
「とにかくね、この人、男のことしか頭にないんですよ」と言った人がいるそうだ。
確かに彼女は、自らを恋愛至上主義者と公言している。
ただその料理方法がとても素敵だ。
恋愛をテーマにした歌い手としてはユーミンが有名だが、彼女の恋愛観とはちょっと違ってる。
ユーミンの曲には女性の怨念じみたものを感じる時があるが、古内東子はもっとあっさりしたと言うか、「いい女」を演じているのか、そのへんが希薄な感じ。
そのへんも洗練された楽曲に影響しているのかもしれない。
それと彼女の作品の魅力の一つとして、演奏のクオリティの高さが挙げられる。
優れたスタジオミュージシャンが演奏し、その優れた仕事がちゃんと生かされている。
時々、特に邦楽を聴いていて感じるのが、素晴らしい演奏なんだけど音がよくないと思えること。
音が透明じゃないというか、なんだか音楽の上に一枚薄いフィルムがかかっているような感じ。
特に感じるのがドラム・・・。
ドラムの音が一つの塊になっていて、クリアじゃない。
スタジオのせいなのか、機材が違うのか、それともエンジニアが駄目なのか・・・そんな事は知る由も無いが・・・。
でも彼女の作品ではほぼ解決されていると言ってもいいと思う。
ドラムの音は一つ一つがバランスよく分離されているし、ギターも一つ一つの音がちゃんと鳴っている。
すべての楽器の音が立体的に組み立てられ、その上に彼女の歌声がのっかってる感じ。
彼女の音楽を聴いていて感じるのは新鮮さ。
彼女のキャリアは熟成されてゆく赤ワインのような感じではなく、グラスに注がれたスパークリング・ワインを眺めたときに見える気泡の感じに似てる。
古内東子 / 恋
悲しいうわさ
ブレーキ
大丈夫(リミックス)
月明かり
そして二人は恋をした
ケンカ(アルバム・ヴァージョン)
どれくらい
余計につらくなるよ
いそがないで
宝物(アルバム・ヴァージョン)