The Who / Quadrophenia
ザ・フーの長い歴史の中でベストなアルバムとは
何になるでしょう。
今回選んだ「四重人格」(Quadrophenia)は
もちろんベストに相応しいアルバムではありますが、
それ以上に十代の多感な頃によく聴いたアルバムなので個人的な思い入れが強い作品です。
本作品、「Quadrophenia」は、一人のモッズの少年が社会に適応しようとするけれど出来ない、という屈折した生き様を描いた、いかにもピートが作りそうなロックオペラです。
このアルバムでは、全曲ピートが一人で書いているのでソロ作品的な感じもありますが、サウンド面ではその逆で、ハードロックバンドとしてのフーの魅力が詰まっています。
曲は“I Am The Sea”から始まります。
波の音をバックに4人のテーマが現れ、消えていきます。そして“Can you see the real me, can you?”のロジャーの叫びが遠く聞こえ、“The Real Me”へと繋がります。
“The Real Me”は私の大好きな曲のひとつですが、
この曲はフーらしい演奏スタイルで彼らの魅力を聞かせてくれます。
ジョンのリードベースで曲をグイグイ引っ張り、それにキースのドラムが掛け合う様にしてフレーズを聞かせてくれます。それにピートのリズムワークに徹したギターが入り、ロジャーのボーカルが絡みます。
この時のジョンのプレイは最高です。
続いて曲はインストナンバーの“Quadrophenia”へと続きます。ピート・タウンゼントはギターリストとしての、正当な評価を受けていないように感じますが
この曲のアレンジとギターはすばらしいです。
と、以上な感じで曲は進みますが、このアルバムを聴いていると、いまでも涙が出てきそうになる時があります。
この作品に出会えて本当によかった、と思える1枚です。